空を飛ぶ夢を描いたハリウッドアクション映画「The Rocketeer」

1977年の「スター・ウォーズ」が大ヒットし、その影響なのか1980年代のハリウッド映画では(CG以前の)特殊効果を活かした映画が数々製作されてきました。
ざっと思いつくだけでも、スーパーマン、ゴーストバスターズ、インディージョーンズ、バック・トゥ・ザ・フューチャーなどなど。

上記の映画はテレビで放送されたりリメイクが作られていますが、同じくらい完成度が高いのにあまり注目されていない(と個人的に思ってる)映画があります。
それが今回紹介する「The Rocketeer(ロケッティア)」です。

タイトル:The Rocketeer(ロケッティア)1991年、アメリカ

監督:Joe Johnston

出演:
Billy Campbell(HELIX, 4400)
Jennifer Connelly(フェノミナ、地球が静止する日)
Timothy Dalton(007シリーズ)
Terry O’Quinn(LOST, パトリオット)

あらすじ

1938年、ロサンゼルス。小型プロペラ機パイロットのクリフとそのチームは、3年と全財産をつぎ込んで新型飛行機を購入、全米大会に出る準備を整えていた。

試験飛行として飛ばしてみるが、その時地上ではギャングとFBIがカーチェイスをしながらの銃撃戦を繰り広げていた。
飛行機は運悪く流れ弾を受け、その結果不時着、炎上し、全米大会の夢が潰えてしまう。

クリフとメカニックのピーヴィーは気を落とすが、その時格納庫で不思議な物体を発見。その形から背中に背負って空を飛べる装置(劇中では「ロケット」と呼ばれている)だと判明する。
実はギャングがこのロケットを盗んで、カーチェイスの最中に格納庫に隠していたのだ。

この装置を使って空中ショーを行えば、お金を稼げて全米大会にも出場できると言い出すクリフに、ピーヴィーはFBIやギャングが絡んでいて危険だと言いつつも渋々協力する。

クリフの仲間の一人が、地元のアクロバットショーで古い飛行機に乗り出場するがトラブルが発生、これをみたクリフは仲間を助けるためにロケットを背負い、空高く舞い上がる。


初めての飛行でうまく操縦できないものの、何とか仲間を助け出し空に消えていく。

ショーの観客は突然現れた空飛ぶ男による救出劇に大興奮、取材に来ていた報道陣はすぐに新聞社に連絡、号外を出して一大ニュースとなる。
そしてその謎の人物は「ロケッティア」と名付けられた。

だが、このロケットを最初に盗んだギャングと、その黒幕が後を追うのだった。

見どころ

この原作はアメコミの雑誌で連載されていたもので、映画も全年齢向けに描かれています。なので深いテーマは無いけど、その分1980年代の「気軽に観れる作品」となっています。

製作はウォルト・ディズニー・ピクチャーズなんですが、それでもあまり知名度がない印象です。
(2019年にロケッティアのアニメシリーズが始まったらしいですが)

ストーリーに深いテーマはないものの、この作品はストーリー以前に「空を飛ぶ夢」が強く描かれています。
人間が昔から持つ夢が根底に描かれていて、それがスクリーンの中で描かれていきます。

空を飛ぶといえばスーパーマンや「マトリックス」のネオなんかがいますが、彼らはいわば「超人」であり日常的に空を飛んでいます。
対するこの映画の主人公クリフは「ただの人間」です。だからこそより身近に感じ、空を飛んだ気分を観ている人たちに味わわせてくれますし、もしかしたら同じ様に空を飛べるんじゃないかという夢をもたせてくれます。

実際単身で空を飛んでる人も世の中にはいますしね:)。そういえば1984年のロス五輪のオープニングでもジェットパックで空を飛ぶパフォーマンスがあったような。てことで探すと見つかりました。YouTubeへ(埋め込みは制限されているみたいです)

映画よりも前に実現していたんですねぇ(*´ω`)。

ストーリーと構成の妙

ストーリーは上記の通り空を飛ぶ夢を基調にしているのに加え、インディージョーンズやバック・トゥ・ザ・フューチャーさながら、ときにコミカルも交えて軽快に進んでいきます。

時代は1938年で、いわゆる「古き良きアメリカ」が舞台。飛行機はプロペラ機で、飛行船も飛んでます。車はもちろんロールス・ロイスやフォード、パッカードなどのレトロタイプだし、FBIはトレンチコートにつば広ハットで銃はマシンガンという出立ち。

物語の構成をみると、意外と伏線が多く一つ一つの物事にもちゃんと理由があり、それぞれの出来事が次の出来事にうまく繋がるので構成や脚本がしっかり出来ていて素晴らしいです。無駄もないので気持ちいい。
ストーリー構築の手本といって良いくらい。ストレスを感じさせずスムーズに物語が入ってきます。

当時の事件との関連付け

上記のよく出来た構成に加え、1938年前後に実際に起こった事件なども取り込んでいて、事実と関連付けている箇所がいくつかあります。もちろん架空の出来事なのでフィクションです。

ハワード・ヒューズ

ロケットの開発者として登場するハワード・ヒューズは、実在した人物で発明家であり資産家、大富豪でもあります。
この映画の中では、アメリカ政府からの依頼で極秘にロケット開発に着手するという流れで登場しており、この時代にこの役柄を考えた時、ヒューズほどピッタリ当てはまる人はいないでしょう。

ロサンゼルスの名所

ロサンゼルスといえば、映画の都として有名なハリウッドがありますね。なのでジェニーがエキストラの仕事をしていても、映画スターであるネヴィル・シンクレアが住んでいても違和感はありません。

そしてハワード・ヒューズは上記に加え、ロサンゼルス郊外のグレンデールに「ヒューズ・エアクラフト」という航空機製造会社を設立していたので、場所柄としてもぴったり。なんか見事にはまってますね:)

また最近では「ラ・ラ・ランド」にも登場したグリフィス天文台も登場します。
(少し脱線しますが、ここのシーンのギャングのボスの、いわゆる「筋の通し方」がめっちゃ格好いいんです。。。!)

ハリウッドサイン

ハリウッドの丘にある有名な看板、ハリウッドサイン。
元々は「HOLLYWOODLAND」という文字だったのは有名ですが、現在では元々の役割を終えたことに加え、老朽化と、自殺者が出た上に13文字であることから自殺の名所といういわくも付いて、「LAND」の4文字が撤去されています。

映画では別の理由で「LAND」が無くなるシーンがあり、少々コミカルに描かれています。

飛行船ルクセンブルク号

1930年代にドイツのツェッペリン社が、飛行船とそれによる航路を開拓し、ドイツとアメリカを結んでいました。
有名なのは1937年のヒンデンブルク号の火災墜落事故ですね。

この映画では「ルクセンブルク号」という飛行船が登場し、気嚢の中は水素ガスが詰まっており、引火すると危険という設定も受け継いでいます。
現在ではヒンデンブルク号の火災の原因は水素ではないという説が有力視されてますが、この映画製作時では水素は危険であるという認識だったので、その設定のままになっています(そういう時代があったという記録にもなりますね)。

1938年という時代設定

この時代は世界各地で戦争が起こり、アメリカの世論にも大戦争に発展しそうな不安な雰囲気があったんじゃないかと思います。実際、翌年に第二次世界大戦が勃発しました。
実はこの辺も絡んでいますが一応伏せておきます:)

これら全てが無理な関連付けもなく、ぴったりはまっているのも驚きです。

キャスト

キャストも今見ると豪華なメンバーです。日本で有名な人をピックアップ。

主人公には長身でハンサムなビリー・キャンベルと、ヒロインにジェニファー・コネリー。このカップルがまた似合うんです(*´ω`)

ハワード・ヒューズ役にテリー・オクィン。実際にはプレイボーイの面もあるヒューズですが、ここではテリーの魅力である紳士な佇まいが知性を感じさせます。

そして4代目ジェームス・ボンドを演じたティモシー・ダルトンが悪役で登場。当時は007の印象が強かったので、この配役は面白く感じました。

その他色々な作品で登場している脇役の俳優さん達もいます。みんな若い(*´ω`)。

音楽

音楽も素晴らしい。作曲はジェームズ・ホーナー。後に映画「タイタニック」の音楽も手掛けています。

メインテーマ/オープニングは、「空を飛ぶ夢」を連想させるキラキラした音にピアノでメインメロディが入ってきて、そのメロディがストリングスで演奏されると「古き良きアメリカ」の情景が浮かび上がります。この辺りが「夢」を大事に描いてると感じさせるのかも知れません。
また別の曲の愛のテーマ「Jenny」もすごくキレイなメロディライン。

レストラン「サウスシーズ・クラブ」ではゆったりとしたムーディな曲が流れ、中には名曲「ビギン・ザ・ビギン」も流れます。歌っている(演じている?)のは「The Office」や最近では「トランスペアレント」に出演しているMelora Hardin


こんな感じでまとまりました。
子供から大人まで楽しめる「The Rocketeer」。気軽に楽しく観れるのでぜひ御覧いただければ幸いです。

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