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海外ドラマ:SF大作 “Battlestar GALACTICA”

Last Updated:  2019年6月15日

1966年のスター・トレック、そして1977年のスター・ウォーズがヒットして、その後のSFの方向性を見出したんですが、1978年にそれらの手法を踏襲した、宇宙を舞台にしたSFドラマ「宇宙空母ギャラクティカ」が放映開始されました。

今回はこのリメイクである、2003〜2007年製作の「Battlestar GALACTICA」について書いてみます。なお1978年のオリジナルを指すときは「宇宙空母ギャラクティカ」と書き、本作を指す場合は「Galactica」と便宜上使い分けます。

2003ー2007年。アメリカ 

製作総指揮 ロナルド・D・ムーア、デイヴィッド・エイック
出演:
エドワード・ジェームズ・オルモス(ブレードランナー)
メアリ・マクドネル(ダンス・ウィズ・ウルブス)
ジェイミー・バンバー(バンド・オブ・ブラザーズ)
ケイティ・サッコフ(24シーズン8)
ジェームズ・カリス(ブリジット・ジョーンズの日記)
トリシア・ヘルファー(LUCIFER)
グレイス・パーク(HAWAII FIVE-0)
※その他の出演はこちら

1970年代のSFドラマは子供向けな所が多く、派手な戦闘や勧善懲悪的要素が多かった様に思います。
「宇宙空母ギャラクティカ」も例外ではなく、その名の通り宇宙戦艦がバトルしたり戦闘機が飛び交ったり、宇宙人が出てきたり、ストーリーも単純明快な所が多い作りになっていました。

Galacticaでは子供向けの要素をかなり削ぎ落とし、リアルな描写を重視したハードSFと言っても過言では無い内容になっており、内容、映像ともにSFの歴史に名を残す名作となっているといってもいいでしょう。

オリジナルと共通する大きなあらすじとして:

「12コロニーで繁栄していた人類は、彼ら自身が作り出した機械生命体サイロンの反逆により、その結果住処を奪われ滅亡の危機に陥る。苦渋の選択の末、故郷を捨て伝説の惑星『地球』を目指して長い旅に出る。」

この大きな流れの中で様々なストーリーが展開されます。

では、「宇宙空母ギャラクティカ」から変わった所と見どころを紹介していきます。


進化したサイロン

「宇宙空母ギャラクティカ」では、サイロンはメタリックなボディが基本で、そのサイロンのデザインも「Galactica」では左図の様に一新され、より手強い存在になっています。

「Galactica」では更に、「人間そっくりな人型のサイロン」が登場します。

人型サイロンはサイロンでありながら有機質の肉体を持っており、見た目は12種類のモデルしかないものの、そのコピーが無数に居て復元可能という設定。死んでしまっても記憶が新しい肉体に転送され生き返るのです。ある意味不死の存在。
こちらが人型サイロン。12モデルのうちの1つ。

ストーリー序盤ではその人型サイロンが破壊工作を行い、それがきっかけで人類が滅亡寸前まで追い込まれます。

人類は人型サイロンの存在の噂を知りつつも半信半疑でした。その後存在が明らかになるのですが誰がサイロンかは見分けがつかない。ということは、信頼している仲間がサイロンかも知れない。
この疑心暗鬼に苛まれながらも仲間との信頼、絆、信念で難局を乗り切っていくのです。

しかし話が進むうちに、サイロンには何か思惑があることが見えてきます。


生き残った人類

生き残った人類は5万人。彼らはギャラクティカに守られながら数十隻の宇宙船で船団を組んで宇宙を旅していくのですが、その中でも臨時政府が立ち上がり、それぞれの宗教の自由が保証され、民主主義が確立されていきます。そして様々な問題、例えば政府と軍部の掌握権争いや生活物資の争奪、選挙、裁判、差別問題など、我々の生活でも起こり得る問題が起こります。中にはサイロンが出てこない話もあったり。

この中でギャラクティカの艦長であり軍の最高司令官であるウィリアム・アダマと、政府の教育庁長官から繰り上げで大統領に任命されたローラ・ロズリンの二人が残った人類を導いていくのですが、時に駆け引きし、反発し、対立していくも段々と信頼関係が生まれていくというのもストーリーの一つ。


アダマの信念

この物語の主人公の一人、ウィリアム・アダマ。彼は部下に「オヤジ」と言われるくらい信頼されている艦長なのですが、その理由は「信念」なのでしょう。

彼は平時は穏やかで時には笑みも見せ、部下ともある程度線を引きながらも親しく接するのですが、何かを決断するときは一見無謀に見えるような事でもそれが正しいと判断したなら毅然として決断し、決めた事に責任を持ち、その成功のために徹底的に計画した上で実行し、そしてギリギリまで諦めない。

その結果、大胆な行動、奇抜な戦闘を行い、何度も奇跡を起こします。この信念に基づいた行動自体が物語に感動を与え、この作品にハマっていく要素になっているんじゃないかなと思います。

しかしその信念を打ち負かす様な大きな伏線も用意されていて、その度に傷つき嘆き苦しむのですが、人類存続の為、その信念を持ってまた立ち上がっていくのです。この人間臭さも見どころですね。


それぞれの人生

製作総指揮のロナルド・D・ムーア曰く「これは群像劇だ」と言っているとおり、キャラクター一人ひとりにドラマがあります。

登場人物が非常に多く全員あげるとキリがないので割愛しますが、それぞれの人生が濃く深く絡み合っています。
単なる「宇宙でドンパチ」ではなく、もっと深いテーマが幾つも描かれているんですね。


見えざる力

「宇宙空母ギャラクティカ」には人類より高次の存在…神の様な存在が出てきます。

Galacticaにもこの要素が盛り込まれていて、終末に起こる奇跡の様に描かれています。

例えばストーリーの重要な鍵を握る科学者ガイアス・バルターに、人型サイロンにそっくりな女性が語りかけてきます。彼女はバルター以外には見えないため、幻覚なのかサイロンに仕組まれた罠なのか分からず混乱しますが、バルターは彼女に導かれるまま行動を起こしていきます。結果バルターは他の人以上に数奇な運命を辿っていく事になります。

この要素を盛り込むことで、単なるサバイバルストーリーに奥行きをもたせ、SFで語られる「謎」を深めさせているのかも知れません。


カメラワーク

宇宙空間の映像や戦闘時のカメラワークが素晴らしい!Galacticaではこの描写に特に拘っているようです。

超広角の画像から小さすぎて見えてない宇宙船に素早くズームしたり、またその逆で素早く全体が見えるように引いたり。

しかも手ブレやピント合わせにちょっと時間をかけることで実際に手持ちで撮影してるように見せる演出も。

さらに戦闘シーンでは砲撃や爆発の衝撃でカメラがブレるという配慮までw。他にも戦闘機に取り付けたライブ映像や、宇宙船をかすめるように撮影することで迫力が出るように見せたり、ギャラクティカの大きさを見せるための圧縮効果で写した映像などなど。


戦闘シーン

上記のカメラワークのおかげもあって、戦闘シーンがこれまで見たSFの中では群を抜いてすばらしい映像に仕上がっています。

下記動画を見て頂ければわかりますが、戦闘機100機ほどがアクロバッティックに飛び交いながら銃撃を行い、無数の銃弾やミサイルが飛び交い、戦艦は弾幕を張り、時に着弾して大きく光ったり、破壊され崩壊していく様もリアルです。

マクロス好きな方には通じると思いますが「板野サーカス」をリアルCGで観れると思って頂ければw(戦闘機は変形しませんがw)。


映画化が噂されていますが、どうなるんでしょうね。楽しみです:)

チェックはしてませんが、huluなど動画配信サイトでも配信している可能性はあるので、未見の方はぜひチェックしてみてください。

。。。ちなみに、Amazon Primeでレンタルは出来ますが「ミニシリーズ」と言われるパイロット版、つまり第1話にあたるエピソードが無いため、初見の方はやめておいたほうがいいです。。。w


メディアではDVDやブルーレイで販売されています。

こちらのセットはTV版「宇宙空母ギャラクティカ」、「新宇宙空母ギャラクティカ」、「GALACTICA」の本編とスピンオフ3本を纏めたセットです。

「GALACTICA」だけ欲しい場合は、シーズンごととスピンオフを個別に購入することで揃います。
いくつかのエピソードは、TV尺よりも長いエクステンデッド版も入っています。

スピンオフの「RAZOR」と「THE PLAN」はシーズン2の中盤〜後半くらいの出来事を描いています。
「BLOOD&CHROME」は本編より前、ウィリアム・アダマがパイロットになる前の極秘任務を描くストーリーとなっています。主演は「マスケティアーズ/三銃士」でイケメンのダルタニアンを演じたルーク・パスカリーノ

この他に「Caprica」という、サイロンの開発から反逆に至るまでの作品があるんですが、人気がないため日本語化されていないようです。Amazonでインポートの扱いはあるので、興味ある方は探してみてください。

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