Last Updated: 2019年12月4日
- タイトル:Z Nation 2014-2018 アメリカ
- プロデューサー: Craig Engler , Karl Schaefer
- 出演:
Kellita Smith
Keith Allan
Russell Hodgkinson
Nat Zang
Anastasia Baranova
DJ Qualls
見どころ
ゾンビドラマのマンネリ問題
ゾンビ映画といえばまず有名なのはジョージ・A・ロメロの「Night of the Living Dead」ですね。この映画では「死人が生き返って人を喰い、噛まれた人はゾンビになる」という設定がゾンビに与えられていて、その後に続くゾンビ映画、ドラマの基礎的な設定となっています。
その後大量のゾンビ映画が作られる度に、上記設定を残したままどこかで差別化を図るんですが、定番となってしまった設定を広げるのはなかなか難しいと思うんですね。
ゾンビの設定はせいぜい「大集団で襲ってくる」「足が速い」くらいしか追加できず、その結果「ゾンビは単なる障害物、結局一番怖いのは人間」という図式にたどり着きます。
その後の「ザ・デッド」系はたいていこれが当てはまりマンネリ化し、そしてあの「The Walking Dead」も例にもれずこれに当てはまっています。
個人的に「The Walking Dead」の感想は、シーズン3くらいまでは面白かったんですが、その後は「誰がどこまで生き延びれるか、死に様はどうか」というキャラクターの愛着だけでシーズン8まで見てましたが、ニーガンが出てきたところで「総督(シーズン3、4)のアップグレード版だ」という印象を受けてしまい、つまりもうこれ以上ストーリーの展開は無いだろうと見切りをつけ、それからは見なくなりました。
(Fear the Walking Deadはまだ希望があるので見てますけど)
それと並行して観ていたのが、今回紹介している「Z Nation」ですが、これがもう設定から面白いんです。
定番を覆す設定
ここからは序盤のストーリーを交えつつ、Z Nationに導入された色々な設定をみていきます。
・ゾンビワクチンの開発、そしてゾンビウィルスに耐性を持つ人物「マーフィー」
ドラマは冒頭、科学者がゾンビワクチンの開発をしているところからストーリーが始まります。被検体に試験薬を投与するも、ゾンビがすぐそこまで来ていたので成功を確認できないまま救助のヘリで逃げますが、その置き去りにされた被検体であるマーフィーは体の8箇所を噛まれてもゾンビにならなかったのです。そう、ワクチンは成功します。
・アメリカ横断の旅
マーフィーは噛まれた直後に救助部隊に助けられ、ニューヨークの外れで避難生活をしていたロベルタ達の元にたどり着きます。救助部隊は軍の作戦で、マーフィーをニューヨークからカリフォルニアにあるCDC(アメリカ疾病予防管理センター)に送り届けるという指令を受けているんですが、紆余曲折あってロベルタ達数名のグループがその命を引き継ぎ、カリフォルニアまで送り届けるため、アメリカ横断の旅に出ます。

・個性的なキャラクター
主人公はリーダーのロベルタ(またはロバータ)、ドラッグ好きなドク、射撃の名手でゾンビ10000体射殺を目指す10k、棘付きバットを武器に戦うアディ、そして彼女らに守られながら旅をするゾンビウィルス耐性をもつマーフィー。メンバーは彼女らを中心に入れ替わったり外れたりまた戻ってきたりします。中には途中で命を落とす者も。

そして北極圏の米軍基地に取り残された通信兵「シチズンZ」が、ロベルタ達を遠くからサポートします。
他にもサブキャラクターで沢山の人物が出てきますが、その中で武器商人のスキッチーとスキージーの二人はシーズンごとに1回は登場するユニークな存在です。
・ややコミカルなストーリー
ゾンビドラマでは生きるか死ぬかのシリアスシーンが続きますが、Z Nationではブラックコメディやコミカルなシーンも多いです。ノリは「スーパーナチュラル」が近いかな。
・各地で生き残っている強かな人間達
シーズン1では主に旅の途中で人々と出会い、それぞれに生きるための術を駆使してなんとか生きて抜いているところを描いていますが、それぞれにユニークな設定が設けられています。
売春で誘った客を襲って金品強奪したり、食人生活してる集団、カルト教団などなど。
逆に各地でそれなりに楽しく生活している人々もいます。上記の武器商人達や、麻薬で少々ラリっている人などなど。
一つだけネタバレになりますがどうしても紹介したいのがありまして、シーズン2に出てくる、ゾンビを大麻の苗床にして栽培されている「Zマリファナ」はナイスアイディア。終末世界でも大麻を育てていて、更にゾンビを苗床にしようとしてる人類なんて、とても強くてたくましく感じます:)
・マーフィーの異変
旅を続けていくうちに、マーフィーは体に異変を感じます。目が濁り肌が段々と青くなっていき、ついには。。。!(伏せときます)

マーフィーはこの後も色々と面白い展開をみせてくれます。
・個性豊かなゾンビ
シーズン2以降は、いろいろな個性もつゾンビが数種類登場します。環境汚染されたゾンビや、上記ネタバレの苗床にされているゾンビ、人工的に作られたゾンビというかミュータントみたいなタイプなど。
今までは障害物でしかなかったゾンビに他の要素をもたせる作品はほとんどありませんが、その中でもZ Nationほど色々な種類のゾンビが出てくる作品は他に知りません。

・謎の存在
話が進むにつれて徐々に存在が明らかになる謎の存在。彼らはストーリー全般に関わっているので、ネタバレにならない様ここでは伏せておきます。
・ハイテク機器
考えたらこれも他の作品では出てない様な気がしますね。
この世界ではそれなりのインフラがまだ生きていて、今どきのコンピュータを始め、身近な物から軍用レベルのハイテクなもの、医療施設などもたまに登場します。
製作はASYLUM。あの「シャークネード」を製作したところです。B級の印象が強いですがZ NationもB級ながら、いやB級だからこそ色々試験的な設定を盛り込めたのかも知れません。
そのお陰で、今までのゾンビ物とは一線を画した作品に仕上がっており、長時間になるゾンビドラマでも飽きにくく楽しめて観ることができます。
逆に、今からゾンビ作品を作る際のヒントが隠れているかも知れず、そういった意味では手本となり得る作品です。それくらい色々な設定がこれでもか、ってくらい存分に盛り込まれています。
第6シーズンはキャンセルされ第5シーズンで完結(しかしほぼ綺麗に終わっている)、その他にNetflixでは外伝として「ブラックサマー」が配信されています。
「ブラックサマー」は各地でゾンビが発生した直後の人々が避難していく過程を描いたストーリーで、かなりシリアスに描かれています。
今までのゾンビドラマに飽きちゃった人、「ゾンビは単なる障害物、結局一番怖いのは人間」に気づいちゃった人にオススメできる作品です。
